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【メイン#4】異世界行ってみてぇ~!企業「創りました!」

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いざ親友と全国へ

「いよぉぉぉっし!!これで俺たちも地下デビュー!!」

うるさ。

テンションが上がりすぎてやかましい親友を一旦放置し、教室を見回す。・・・周りも似たようなもんだな。

地下Gーsideに行くためには、2つの条件をクリアしなければいけない。と言っても1つは推奨レベルだけど。

①、中学を卒業していること

②、地下Gーsideでの活動講習を受けること

絶対にクリアしていなければいけないのが①。達成を推奨されているのが②。

地下Gーsideのサービス開始当初は講習なんてものはなかったんだが、これが行われるようになったのはアホな先人達が積み上げて下さった黒歴史の賜物だ。

Gーsideは元々、先にバーチャルがサービスを開始し、そこから2年遅れて地下Gーsideがお披露目された。その際、バーチャルとリアルの区別がつかないバカがいろいろとやらかし、うんざりした運営が”講習やるから受けろ”と言い出したのである。

そのせいで、年齢制限から解放された俺たち世代は高校入学後にまとめて講習を受ける流れが出来上がり、実質高校入学後からでないと地下へは行けなくなってしまった。

そして今講習を受け終わった俺たちは、条件の全てを達成したことになる。

「ねぇ、テンション低くない?いつもだったらこういうとき興奮して騒ぐじゃん。曽根と一緒に」

「あー悠馬はね、テンション上がりすぎると逆に冷静になるタイプだから」

興奮して皆が騒いでいる中、1人だけ場違いに落ち着いてるのが目に付いたのか、近くにいた夏井が話しかけてきた。そして、それに勝手に回答する俊也。

「もちろん俺だって嬉しいよ。でもなんか、人が大興奮してると俺くらいは冷静でいなきゃってなっちゃうんだよねー・・・」

こういう時みんなのテンションについていけない事が、ちょっとだけ寂しかったりする。

「ああー、いるよねそういうタイプ。なんていうか、居てくれると安心してはっちゃけられるわ」

「後始末要員かよ」

わかってたけど。ていうか俺自身それが俺の役割だと思ってるけど。

「でさ、あんたらも実行するよね?アレ」

「「当然!」」

アレとは、この学年の大半が計画している地下Gーsideでの行動指針の事である。

ここに居るのは、基本的に中学時代からお互いを知っている者同士。必然、”地下Gーsideデビューしたらやりたいこと”なんて、ずっと前から頻出の話題だった。

そこである者が言い出したのだ。「長期間地元にいる必要ないんなら、リアル冒険者で全国回れんじゃね?」と。

それはもう大盛り上がりだった。どいつもこいつも「自分もやる!」と賛同し、結果最終的には仲の良い者同士で組んで旅に出ることに相成ったのである。

「だよねー!あたしは真綾と詩織と行くんだ。あんたたちも2人で組むんでしょ?」

「おう!まずは東京目指して南下するつもり。その途中水戸に寄って、あわよくば”千歳”の人たちに会えたら良いなって」

全国的にも有名な攻略ギルド”千歳”。水戸はその千歳が発足した地であり、活動が全国規模となっている現在でも、本拠地として多くの有名人が活動拠点を置いている。

「うわー、それ良い!水戸にも桜明あるよね?地元の子なら、メンバーの知り合いとか居るんじゃない?あたし達もそのうち行こうかな」

「お前らはどこ目指すんだ?」

「北海道にカニ食べに行く」

即答。Gーside関係ないし。食い気に勝るものはないと。それ冒険者っていうか単なる旅行じゃね?

「なによその顔は。良いじゃん別に。3人意見が一致したのよ。それにGーsideじゃなかったら、高校生が北海道行く旅費もカニ代も用意できないじゃん。あたし達はこれでいいのよ」

「まあ、そうだな。確かに旅費とかに関しては同意だわ。ほんとFantasy-LIFEに感謝」

Fantasy-LIFEとはGーsideの運営元の会社だ。そしてGーside内では、タイトル共通で”シェル”という通貨が使用されている。もちろん普通にゲームを遊んでいれば溜まっていくものだ。
そして、Gーside内には普通に宿屋や飯屋が存在する。もちろん道具屋・服屋などもある。そしてG-side内であればシェルによる支払いが有効である。つまり、ぶっちゃけ食う・寝る・着るがゲームを遊んでいれば完結できるのである。

このシステムを作ってくれたFantasy-LIFEには全霊をかけて感謝と賞賛の意を表したい。

「おかげで帰ってこなくてもやっていけるもんな」

「え!?」

夏井がもの凄くびっくりしている。というかショックを受けてる?

「どした?」

「いや、どした?じゃないよ!帰って来ないつもりなの?」

「いや別に帰って来ない訳じゃねえよ。帰る予定を決めてないだけで。お前らは決めてんの?」

「そりゃあ、いつ帰るか決めないで旅行行くことある?オンライン期間と登校期間1回分くらいでどっか行って、また1クール挟んでどっか行くを繰り返すつもり」

ついに”旅行”って言っちゃったよ。楽しそうで何より。

「せっかくだから出来るだけ遠くまで行ってみたいんだよ。それに、確実に同い年だらけだって分かってる場所に無条件で突入していけるなんて、桜明在学中を逃したらそう無いだろ」

「そうそう。ついでにその模様を配信して、普通に現金も稼ごうとしてる」

「抜け目ないね・・・。でもそれは普通に面白そう」

「だろ?出発前にはちゃんと開設しとくから、お前も登録してくれよ」

「するする。聞いたら他の皆も登録するでしょ。というかあたし達もチャンネル作ろうかな。むしろ皆でやればお互いの様子確認出来て良いかもね」

「そうだな!じゃあグループCallで回しとくか。開設した奴からグループにリンク貼っ付けてもらえばいいし」

言いながら俊也がCallに今の話を回し、すぐに何人かから反応が返ってきた。といっても皆教室にいるわけだから、直接俺たちの周りに集まってきたけど。

「良いなこれ!俺らのとこでもやるわ。皆違う所行くだろうし、全国のいろんな場所見れて面白そうじゃん」

「登校週間で集まった時にでも、お互い行った場所の事共有しようぜ」

「桜明の他校にも行くっしょ?それぞれで人脈広げて来たら、全国に知り合いだらけとか出来るんじゃない?」

「それ実現したらなかなかエグいな!みんなで行った先でチャンネル宣伝し合えば、いわき校有名人だらけになるんじゃね!?」

わいわいとみんなが集まり、パーティーや個人単位で計画を練り始める。最初に”リアル冒険者”という話が出た時もこんな感じだった。

この仲間たちの雰囲気、俺はもの凄く好きだ。まだ旅立ってすらいないけど、既にちょっとだけホームシック気味になりかけてしまった。

・・・出発直後に「寂しいから帰る」なんて絶対言えないけどな。

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