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【メイン#7】異世界行ってみてぇ~!企業「創りました!」

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飯トーク

予定通りファシクラータ通りまでやってきて、斉藤と江崎の希望により”ジョリー・ドランクス”という店に入った。

ここは落ち着いて食べるというより、1品料理を何種類か頼んでみんなでシェアするようなスタイルだ。結構品数も豊富で美味いから、かなり幅広い層にウケて繁盛している。
俺たちは飲めないけど酒も提供されていて、もっと遅い時間になるとかなり騒がしくなる。ぶっちゃけ酒場だ。けどこの雰囲気はいかにも”異世界”感があって良い。

実のところ、今日集まった目的は単なるメシ会ではなく、明日から1泊の予定で行う”G-side合宿”の打ち合わせ(というか最終確認)だ。

「とりあえず、たくあんとサバに俺たちをちゃんと区別できるようになってもらわないとな」

斉藤改め”ヒコヨシ”の音頭で始まった、改めての自己紹介ラッシュ。と言ってもプロフィールを確認すればいいので別に覚える必要はないのだが、形式美というやつである。

斉藤義彦、アカ名”ヒコヨシ”。ほぼ人間だが一応トカゲ獣人系のアバターで、頬や腕にトカゲっぽい鱗がある。パーティーではタンク。

小池靖一、アカ名”こやす”。シーフや忍者など、斥候系のロールにこだわりがあるらしく、リアルの身長より小柄。髪は緑と深緑のメッシュ。迷彩柄みたいな色合いだが、実際森で目立たないらしい。
江崎真菜、アカ名”マルテ”。格闘系の近接戦闘プレイヤー。オレンジのポニーテール。髪型的にも戦闘スタイル的にも、イオリの亜種だと俺は思ってる。
宇賀神結、アカ名”ルル”。純魔で攻撃・回復両方こなす。白っぽい金髪の編み込みスタイルで、”姫様”とか呼びたくなるような上品さと儚さを醸し出す。

原田悠馬、アカ名”焼きサバ”。茶髪に青目。細いというか、華奢な印象。遠距離やサポートが得意との事。

同様に俺たちも挨拶を済ませ、いよいよ本題。

「んで?実際野営地ってどんな感じなん?」

身を乗り出してヒコヨシが聞く。授業の時にも話はしていたが、どうも普通に”冒険者”って聞いて思い浮かべるような野宿なんかとは全然違うようなのだ。

「一言で言うならグランピングだな!完全に!!」

「もちろん普通のキャンプ場みたいなところとか、キャンプ場を超えてただの空き地みたいなところとか色々あるけどね。そういう所に泊まるとなると荷物も多くなるし、食事の用意とか色々しんどいし。まとめて”野営地”なんて呼んでるけど、グランピング型式のところはめちゃくちゃ快適だったよ」

現代っ子に合わせてチューニングされたといっていい”異世界ライフ”。何しろここはゲーセンなのだ。楽しむために創られた世界で、わざわざ世界観にこだわり過ぎて過ごしにくいなんて誰得である。

「ご飯は!?バーベキュー的な?それとも食堂併設とか?」

「デザートとかも食べられたら嬉しいよねぇ」

ヒコヨシパーティーの女子たちが食べ物に興味を示した。

「どっちのパターンもあったな。デザートはその時々だけど、焚火でスモアとか作ったりもするよ。バーベキュースタイルは結構多かったけど、場所によっては好きな方を選べるし、泊ってる場所に料理を運んできてくれるスタイルのところもあった」

「ご当地食材メニューとかもあったよな!晩飯も美味いんだけど、G-sideで食う朝飯って最高だぜ?ファンタジーな景色をバックに飯食ってるだけで、”俺ここで生きてる!”って感じでさぁ」

「うわぁ~・・・。マジで良いな・・・」

なんつー羨ましい生活スタイル。そうやって旅しながらここまで来たのか。

水戸勢の目が羨望に輝く中、いわき勢の2人は続ける。

「いわき校のクラスメイト達ってほとんどが中学以前からお互いに知ってる間柄でさ。桜明入学前からみんなで”リアル冒険者生活”してみようって話は出てたんだ。だから最初の登校週間が終わると同時にほとんどが全国に散ってて、それぞれが各所で得た情報を共有したりお互いの配信見て楽しんだりしてるんだよ」

「その”旅立ちの日”ってのが卒業式みたいなノリでさ、みんなハイテンションで出発したわけよ。それがほんの4日目にして全員再集結したんだぜ?」

「ああ。メンバーの中に東京に直行した奴がいてさ。そいつが東京で仕入れてきた情報が結構インパクト大だったもんだから」

そこで2人は一旦言葉を切った。一瞬目配せをして身を乗り出し、少し声を落として続きを口にする。

「unknownに関する事なんだ。知ってるのと知らないのとじゃ、かなりプレイに差が出るような内容なんだけど・・・」

「もちろん教えるのに抵抗とかないんだけどさ、俺たちついこの前ネタバレ関係でめっちゃ怖い話聞いたばっかなんだよ。正直誰に聞かれるかわかんねー所で話すの怖くてさ・・・」

さっきまでの生き生きした語勢はなりを潜め、やたら神妙になってもったいぶる。なにこの雰囲気。怪談話でも聞かされんのか?

「なに?怪奇現象でも起きた?」

イオリは同じことを考えたらしい。他のメンバーも訝し気だ。

「unknownで配信やっちゃった奴の話って知ってる?」

「配信?いや知らねえ。ていうかそれペナルティだろ?最悪一時凍結されんじゃねえ?」

「ああ、俺それ姉ちゃんから聞いたことあるわ。地下G-side開始から半年くらいの頃に起きたんだってな。当時は凄ぇ騒ぎになったって」

カラス丸は知っているらしい。こいつには5歳上の姉ちゃんがいて、地下のサービス開始は3年前。つまり姉ちゃんは当時から地下に来ていたことになる。

「それがさ、ペナルティって”追放”だったんだってよ。問題の配信も削除されて、今はもう痕跡も残さずだってさ」

「マジ!?追放?」

本当に怪談みたいなトーンで告げたたくあんの言葉に動揺が走る。今や地下G-sideは単なる遊び場などではない。実際ここで商売やって、それだけで生計を立てている人もいる。安全対策システムがあることで安心感が強いため、遠地に行くときG-side内で移動してから地上に出る人もいる。アーティストのライブやコミュニティのリアルイベントだって頻繁にG-side内で開催されている。G-sideから追放されるなんて、生活インフラの一部を取り上げられるに等しい。重いなんてもんじゃない。

「まあ、実際はNGあったときはアシスタントが教えてくれるらしいんだけどさ。でもこの話教えてくれた人に、”必ず相手がunknownプレイヤーだと確認してから話をするように”って警告されてさ。みんながプレイヤーだってのは分かってるんだけど、周りの人は分かんないだろ?こんな話聞いちゃったら絶対地雷は踏みたくないし」

「そ、そうだよな・・・」

「じゃあさ、明日から合宿だし、その時なら教えてくれる?」

「おう!それならダイジョブだ」

一気に元気を取り戻すたくあん。サバもほっとしているようだ。

「別にそんな神妙にならなくても、無理やり聞き出したりしないっての」

「そーそー。アタシらだってそこまで身勝手じゃないよ」

「正直お前らが一番無理やり聞き出しそうな感じあるよな・・・」

「自覚してるからフォロー入れたんじゃねーの?」

イオリとアリスのフォローに余計な茶々を入れるヒコヨシとカラス丸。案の定2人に睨まれている。かまっていてもしょうがないから放置。

「で、本題だけど、明日は”レステ”のあたりで良いんだな?」

「うん。あの辺自然豊かで結構見どころあるって聞いたから」

「本当は北東の”天狗の森”行ってみたいけど」

「「「「無理」」」」

たくあんの要望を秒殺するヒコヨシパーティー。こいつら前に挑んでボロカスにやられてんだっけな・・・。

天狗の森とは、俺たちが今いる城下町から見て北東に位置し、”関東最恐”とも言われる超ハイレベルなエリアだ。何せあの千歳ですら攻略できていない。他にも全国からトップレベルのプレイヤーが挑んでは玉砕している”魔窟”である。

いわき勢の2人は南下してきたわけだから道中通り過ぎていることになるのだが、レベルがレベルだけに街道からは外れた位置にある。普通は行こうと思わなければ偶然迷い込んだりはしない場所だ。

ヒコヨシ達による断固拒絶の構えに苦笑を浮かべつつ、話を元に戻す。

「じゃあ、予定通りレステで。集合は朝に城下町で良い?」

「おっけー。どうせそのまま行くなら西門集合にしようぜ。西の街道に沿って行けば辿りつくからな」

「1泊でしょ?荷物とかは?」

「ほとんど宿泊先のアメニティでどうとでもなると思うよ。ドライヤーなんかもばっちり置いてあるし」

「マジでホテルだな」

野営地(笑)。これなら心配せずに合宿を楽しめそうだ。

そのあとは普通に食事を楽しみ、城下町で解散した。ヒコヨシパーティーは帰宅。たくあんとサバはギルドによってから帰るらしい。

俺たちのパーティーはかなり個人主義なので、帰宅組と狩り組に分かれた。・・・はしゃぐのはいいけど、明日寝坊すんなよ?カラス丸。

次話へ

水無月みと

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