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【外伝】千歳、翡翠洞攻略編:#5

水無月みと

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裏ルートは思ったより性格が悪そうだ

さて、合流場所はカンゴーム。

俺を呼び出した張本人、Aチーム頭脳担当”苔の助”。Gーside以前から10年以上の付き合いだが、どうにも俺を苦手としているらしい。事あるごとに玩具にしてやった弊害だとは思うが。

とにかく、その苔の助が俺に対して助力を求める事態というのは、”それなり以上に面倒な状況”だと考えて良いだろう。合流はさっさとするべきだな。

とはいえ、カンゴームは大阪。俺の現在地は茨城。飛行機に乗って1時間。更に空港からの移動もある。

「ふん。1時間以上使ってただ移動するだけというのも非効率だな。ロクシィ、バーチャルからログインする。何が起きているかだけでも早急に把握した方がいいだろう」

<やーさしいねぇ。仲間が困ってるから1時間ぽっちでも惜しい?>

「黙れ。無駄というものが許せんだけだ。先に把握してしまえば体が動かせなくても頭は動かせるだろう」

<あっそ。んじゃ、ログイン先どうすんの?>

アレウスだ。それと、今日一番遅い時間で飛行機をとっておけ」

<了解>

移動さえしてしまえば宿泊先はどうとでもなる。キャンプギアでもあればGーsideで野宿も出来るからな。

どうせ野宿でもいいとか言いそうだから宿も探しといてやるかぁ・・・。お?安くなってんじゃん!僕ってば優秀~♪

ソファに深く腰掛けて目を閉じる。普段はARとして景色上に情報を表示させているスマートコンタクトだが、目を閉じたことによりスマートコンタクトの情報以外が一切遮断される。すると【VRモード】へと切り替えられ、俺の視界内は全てバーチャル空間の景色へと変換された。

コンタクトはまぶたの内側にあるからな。目を閉じていようが、光源さえあれば情報伝達には申し分ない。

<おかえりホシガキ

「やかましい。正しくは”いらっしゃい”だ」

<つれないなぁ>

装着したイヤホンを通じて脳波が読み取られ、リアルの体を動かすのと同じようにアバターを動かすことが出来る。声を出そうと思えば声が出る。手足を動かそうと思えば手足が動く。”操作”ではなく”動作”。Gーsideがバーチャルのみでサービスを開始した当初は多少の違和感もあったが、現在ではそれが全くない。

さて、先ほどロクシィに指示した通り、ログイン先のゲームタイトルは「アレウス・ファンタジア」。スキル・呪文・アーツなど、体系化されたアクションが搭載された王道のRPGゲーム。

魔法と言えば「あの日の師匠とグリモワール」が有名だが、あちらは呪文などは無くプレイヤーが想像した通りの事象が発生するというもの。

対してこちらは、火魔法の【ファイア】を使えば全プレイヤーが同一の【ファイヤ】を発動するという仕様である。まあ、アレウスにはレベル概念があるので、威力にはかなり個人差があるが。

ログイン先の現在地は、ローゼンブルク城下町西部に位置するギルドハウスの一室だ。

「あれ?ホシガキさんVアバっすか?」

ブルーノか。・・・なんだそれは」

向こうの質問を無視してしまう形になったが、それどころではない。

Bチーム所属の銃火器オタク、もとい”歩く弾薬庫”ブルーノ。何故か床に描いた魔法陣の各所にライフルやらランチャーやらを配置し、魔法陣の中心に向かってバズーカを構えている。問題の中心部には火薬の山。

「これっすか?ミミィさんが”アビス”で開発した錬金術っす」

”アビス”とは「AbyssAlchemist」の事だな。プレイヤーが錬金術師となってひたすら研究に没頭するというゲームだ。やりこむとキリがない。

「仕上げにロケット弾を撃ち込む錬成とはなんだ」

「なんすかね?ミミィさん曰く、『爆発で生まれた衝撃波を錬成陣によって集束させ、周囲に配置したアイテムによって方向性を指示し、投入されたアイテムによって錬成物の完成度を上げる』らしいっすよ」

再度錬成陣に目を向ける。

・・・成程、おそらくミミィは間違っていない。Bチームで振り切れた研究オタクがそうそう間違えるはずもない。まあ、[アイテムを投入]が[ロケット弾投下]に変わっているが、そこは別に良いだろう。投入も投下も大して変わらん。問題はこっちだ。

「お前、方向性を大雑把に[銃火器]でまとめたな?分類が広すぎる。重視するのが射程なのか威力なのか、選択意図を明確にしてアイテムを選べ」

「え、どっちもは無理っすか?」

「欲張るな。そんなに都合の良いものではない。最悪『射程は短く、高威力で、攻撃範囲は広い』なんて物が出来上がるぞ」

「えぇ・・・、近距離で広範囲なんて自爆じゃないっすか。それは困るっす」

「この錬成陣に方向性を任意で抽出する機能はない。選ばれたアイテムの内、共通した特徴を抜き出す程度だ。それを分散させてみろ、出目が悪ければ更に使えない組み合わせもあり得るぞ」

「悪いとこ取りっすか・・・。それはゴミっすね」

「わかったらやり直せ。ロケット弾の撃ち込み自体は悪くない。単純に威力の底上げになるだろう」

「了解っす!やっぱホシガキさん優しいっすね!ミミィさんは使い方は教えてくれたけど、後は自分で試せってぶん投げられましたもん。いや、研究成果を教えてくれただけでめちゃくちゃありがたいんすけどね」

「俺が優しくしてやった覚えはない」

実際このまま実行すれば、こいつも巻き込まれて吹っ飛ぶ。この至近距離で火薬の山にロケット弾を撃ち込もうとしているのだから当たり前だ。

集束以前にエネルギーの拡散が無いとは言ってないからな。大きく広がってから集束という過程を辿るだろう。

まあ、どうせゲームだから死ぬわけじゃない。もしかするとこのギルドハウス内に居るやつが十何人か巻き込まれるかもしれないが、錬成自体は成功するだろう。あとは知らん。

「謙遜っすねぇ。ところで、なんで本体水戸にいるのにVアバなんすか?」

ああ、そういえば最初の質問に答えていなかった。

苔の助に呼び出されたのだ。意外に厄介なダンジョンだったらしい」

「ああ、大阪でしたっけ?でも人多い場所に出来るダンジョンって難易度低いっすよね?苔の助さんが手こずる程っすか?」

「裏ルートが発見されてな。まあ、まだ斥侯班が情報収集している段階だ。実際に見ない事には何とも言えん」

「へえ、裏ルートっすか。俺あんまり行った事ないっすね」

「そうか。ならお前も参加するか?本番は来週だからな」

「おお!良いんすか!?丁度オンライン授業の期間っすね。参加します!」

「なら向こうの連中にも伝えておいてやる」

ブルーノとの話に区切りがついたので、苔の助を呼び出す。

『おい。とりあえず状況だけでもさっさと把握したい。ポータルを設置しろ』

『お前転移魔法持ってるよな?』

『うるさい。到着次第現地を見に行く。MPの無駄だ』

何かブツブツ言っているが知った事ではない。多少耐久値が下がるがメンテナンスすれば再利用できるものだ。使えるときに使わなくてどうする。

「では行ってくる」

「ハイっす!頑張ってください!」

良い笑顔のブルーノが錬成陣に向けてバズーカを構えなおすのを横目に、俺はカンゴームへと転移した。

俺たちが動くところを見たい?だったらお前が作ってみせろ

翡翠洞裏ルート

「なるほど、ここが入口か」

宣言通り到着と同時にダンジョンへとやってきた。当然、入口とは”裏ルートの”である。

俺の視線の先にあるのは、壁面から無数に生える緑色の鉱石の1つ。

他と大差無いが、この1つだけは中心に赤が混じっている。探索スキルの【サーチ】と【鑑定】を組み合わせて使用することで発見できたが、探索系のスキルや魔法がなければ見落とすだろう。

「説明不要なのは面倒が少なくて助かるが、問題はこの後だ」

ややぞんざいな動作でその鉱石に手をかざしたトンビが掌に火魔法を発動させる。

「ビシッ」っという音と共に鉱石が砕け、周囲の景色も一変した。

「ここから先はアンデット系だ。で、敵グループの殲滅とギミックの解除が裏ルートへの侵入条件になる」

「だから脳筋を連れてきたわけか」

さっきから暇そうにしていたケンシを見遣る。

「うっせーな。脳筋とか言うな」

≪プレイヤーの侵入を確認。試練を与える≫

偉そうなシステムアナウンスの後、大量のアンデット系モンスターが出現し、カウントダウンが開始された。

「で?俺は何故呼ばれた?まさか単純戦力としてではないだろう」

話す間に、宮殿の広間のような空間の壁面に巨大な鏡が出現する。天井まで届こうかという大きさの鏡が12枚。

≪28・・・、27・・・≫

「ギミックの解除があるって言ったろ?これが毎回内容が違うんだよ」

ギミックか。如何にもあの鏡が関係ありそうだ。

「ほう?」

「しかもぉ、侵入プレイヤーにどんなのが居るのかもちゃんと考えて問題出してくるからさぁ、毎回めんどくさいの!」

「敵グループの殲滅とギミックの解除が同時な上に、前回はそれぞれが干渉してきやがってな。殲滅中の敵の中に解除キーを所持してる奴がいた」

「しかも解除キーってのも立体パズルだったしな・・・。複数集めなきゃならない上に、組んでみないとパーツが揃ってんのかもわかんねえし。結局完成したパズルも3個だったし。ギミック進めてみるまで3個だってこともわかんなくて、突破するまでめちゃくちゃ時間かかった」

「つまり俺に求めるのはギミックの解除か。苔の助だけでは厳しいと」

「そうだけど最後の一言は余計だ!」

≪16・・・、15・・・、14・・・≫

「殲滅の方は俺に任せろ。つーか、ぶっちゃけそれしか出来ねえ」

「誰がそんな分かり切った説明をしろと言った?」

「相変わらずケンシには容赦ないな・・・」

≪10・・・、9・・・≫

「ギミック処理は俺と苔の助がやるとして、他は全員戦闘か?」

「始まってから考えるしかない。場合によっては殲滅しきってからギミック処理に当たった方が良いかもしれないし」

「最初の時だっけ?天井からぷらぷらしてる紐を引っ張ってアタリ探すってのあったんだけどさぁ、ハズレだとツボとか落ちてくんの!で、戦闘中のロジ君の頭に当たって、敵の追撃も食らってゲームオーバーなったんだよねぇ」

「あれは予想外だった・・・」

他人の不幸話でケラケラ笑うシュシュと、不運な事故死を思い出して疲れた表情になっているロジ。

心的要素がステータスに影響するGーsideだというのに、始まる前からテンション下げてどうする。前から思っていたのだが、こいつは性格が悪いのか頭が悪いのか、どちらだろう。

≪2・・・、1・・・≫

「結局は出たとこ勝負だ。役に立たなかったらぶっ飛ばすからな」

「ふん。俺が役に立たない事などあると思うのか?トンビ

通学が面倒だと?だから何だ。嫌なら自宅でやる手段を執ればいい

戦闘開始

≪戦闘開始≫

味方と敵を隔てていた光の壁の消失と共に、開始を待ち構えていたケンシ達戦闘狂が我先にと飛び出していく。その瞬間。

「ギャオォォオオォ!!!!」

「なんだッ!?」

前方に居るリビングデッドやスケルトン達とは違う、獣の咆哮が木霊した。しかし、その声の主は姿が無い。

「成程、アレか」

「・・・マジかよ」

俺と苔の助の視線の先には”鏡”。そして鏡には、広間にはいないはずのモノが映り込んでいた。

「うぉう!かっけー!!ドラゴンゾンビだ!!」

遅れて事態を把握したシュシュが能天気な感想を述べる。お前は観客か?これから戦う相手の外見だけ見て興奮するな。

それから徐々に、他の連中にも事態が伝わっていく。

鏡越しでなければ確認できないそのドラゴンは、丁度味方と敵モンスターグループの中間地点に鎮座している。四つ足を地につけ、這うような体勢だ。

『ドラゴンが動くぞ!注意しろ!』

『無茶言うな!正面から敵来てんだぞ!?鏡なんか見てたらこっちが刈られるわ!!』

くびを持ち上げ、明らかにこちらを注視している。そして・・・

『右腕振り上げた!左翼気を付けろ!!』

振り下ろされた右腕は、まるで虫でも叩くかのように地に打ち付けられる。ゾンビ故に決して動きは速くない。だが、威力はドラゴンそのものだった。

「ぅおわ!?」

「うわぁ!!」

攻撃と同時に大きく地面が揺れ、敵グループへ向かって地上を疾走していた味方がバランスを崩す。しかも丁度接敵するタイミングだ。

・・・全く、ゲームの癖に足場の揺れまで再現してくれるとは。

そして更に問題なのは、震源地である左翼。

単純な振り下ろすだけの動き。地面に付いたのはドラゴンの掌にあたる部分だけだったために範囲は広くない。しかし、躱しきれなかった者は1撃でHPを3分の2以上も削られている。当然、こちらの敵との距離も中央や右翼と変わらない。

『左翼下がれ!中央カバーだ!回復の時間を稼いでくれ!』

立て直すべく苔の助が必死に指示を飛ばしている。ドラゴンの攻撃が直撃しても即死しないのは流石千歳メンバーと言ったところだが、開始直後にこれは痛い。

「このやろ・・・。先に片付けてやる!」

振動の影響を受けなかった空中組が、ドラゴンゾンビがいる広間中央に向けて攻撃を開始する。

『苔の助!どうだ、効いてるか!?』

『くっそ、直接姿見えねえからやり辛ぇな・・・』

空中組の攻撃が集中する場所は、確かに鏡の中のドラゴンがいる位置で間違いない。しかし、

『駄目だ、全然効いてない!攻撃が全部すり抜けてる!』

『すり抜けるとか・・・。それじゃ攻撃手段がねえぞ!』

『・・・じゃあ何か?こいつ放置してこの大量のモンスターさばききれってのか!?』

『うるさい喚くな。こいつは俺が始末する』

全く。戦闘馬鹿は結構だが、ギミックの処理はこっちの仕事だと初めから決めていただろう。
・・・ふん。随分と”性格の良い”ダンジョンだな。開始前にシュシュが言っていた、「侵入プレイヤーを加味する」というのはこういう事か。

ならば、ご期待通りに暴れてやるとしようじゃないか。

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